「山崎」、世界最高のウイスキーに認定 海外ファン「驚かない」「遅すぎる」との声

 3日発売の英ウイスキーガイドブック「ワールド・ウイスキー・バイブル2015」で、サントリーの「山崎シングルモルト・シェリーカスク2013」が初めて世界最高のウイスキーとの評価を受けた。

 著者のジム・マーリー氏は、2015年の本を出すにあたり、世界中の4700ものウイスキーを吟味し、その中から数百を実際にテイスティングしたという。

◆年々魅力を増す日本産ウイスキー
 山崎は「言葉にできないほど天才的」と評価を受け、100点満点中97.5点と歴代最高得点を獲得した。

 マーリー氏は、山崎について「繊細で大胆な香り、(テイスティングすると)軽くスパイスの余韻が残る」(デイリー・メール)「ナッツの風味、濃厚で、ドライ…ビリヤードの玉のように滑らかな丸みがある」(デイリー・テレグラフ紙)と表現している。

 スコッチモルト愛好家の会員制組織『ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ』の会員カイ・イバロ氏によると、日本のウイスキーは、年々その強さを増しているという。今回の高評価については、「必然で遅すぎたくらいではないか」としている。また、「多くの人が自国以外に世界中のウイスキーに関心を持つようになってきた」「これは、スコッチウイスキーの最近の成功に関係があるだろう。人々の冒険心や好奇心が高まっている。ほかの国の異なるタイプのウイスキーを試すことで新しい発見をしている」(デイリー・テレグラフ紙)と述べた。

 人々のウイスキーへの関心が高まり、より斬新な味と香りを与えてくれる日本産ウイスキーへの評価が高まったとも言えるようだ。

◆スコットランドあっての日本
 デイリー・メール紙は、「日本のウイスキーが世界一になったことは、スコットランドにとって屈辱だ」とタイトルをつけた。同書の12年の歴史の中で、トップ5にスコットランド産のウイスキーが入れなかったのは初めてのことだ。

 マーリー氏は、山崎ウイスキーの素晴らしさには、スコットランドの酒造メーカーは到底及ばない、としている。また、現在のスコットランドの業界が、新しいことに挑戦する姿勢がないとも嘆いている。

 一方、デイリー・テレグラフ紙によると、ウイスキーの専門家サム・シモンズ氏は、日本のウイスキーは、気絶するほど素晴らしく、評価に値するが、スコットランドのウイスキーには創意がないと貶すのは馬鹿げている、とマーリー氏の評価を批判している。シモンズ氏は、日本のウイスキーは、強力なヴィジョン、あるいは思い切った革新性により、スコッチウイスキーの最先端に位置しているとマーリー氏は評価しているが、革新という点では、今サントリーがやっていることは、どれもスコットランドが先んじてやってきたことだ。スコットランドという先達があって初めて、山崎の成功があるのだ、と述べている。

◆スコットランドはスコッチウイスキーどころじゃない!?
 サントリー『山崎』の記事には、様々なコメントが寄せられている。
・この記事を読んでも驚かないね。これ(山崎)は、本当に特別なウイスキーだ。
・日本が、どうやって機械や自動車産業を破壊してきたか忘れちゃいけない。最初はモノマネから始めて、品質改良しリーズナブルな価格を打ち出す。気をつけたほうがいいよ、スコットランド。
・この前は、オーストラリアのウイスキーが第1位に選ばれたよね。スコットランドは、独立運動に時間とエネルギーを消費しすぎてるんじゃないか。国民的な飲み物のことなんか忘れてしまってさ。
・時代だね。70年代に日本の安酒を飲んだけどひどいもんだった。まぁ、その頃でもビールは美味しかったけど。

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Text by NewSphere 編集部