“日本人はゆとりがない” リニア試乗会記事に、海外読者から辛辣コメント

 JR東海は22日、過去最大となるリニアモーターカーの報道各社向け試乗会を実施した。山梨県内リニア実験線で行われ、7両編成の最新車両「L0(エルゼロ)系」が、山梨県上野原市から笛吹市までの42.8kmを試験走行した。報道陣向け試乗会は過去2回行われており、今回は最多の計約200人が参加した。11月、12月には一般向けの有料試乗会も開催される予定だ。

 JR東海はすでに環境アセスメントを終えて、工事を始める認可申請を8月末に国土交通省に提出した。申請は今秋にも認められる見通しで、東京・品川から名古屋間で2027年の開業を目指す。日本の報道は今後の見通しや技術面が中心なのに対し、海外メディアは懐疑的な見解を報じている。

【時速500キロの試乗】
 実際に試乗した記者達によると、全体の82%がトンネル内だったため、多少の圧迫感があったという。走行中に揺れはあまり感じなかったようだが、停止後、浮上していたタイヤが着地する際に、軽い衝撃があったと述べている。

 JR東海は今後、車内外の騒音を更に減らし、乗り心地の向上、コストの低減を目指していくという。

【海外メディアの報道】
『ディプロマット』は、国内の関心が高まる一方、長期に渡る計画には膨大な建設費がかかり、技術的難題も待ち受けている、と報じた。2045年までに東京・大阪間を結ぶための費用は、総額9兆円に及ぶ。直線距離を結ぶために80%以上はトンネルとなり、建設着工後にも費用が急増することになる、と報じている。

 千葉商科大学の経済学者、橋山禮治朗氏は、人口減少が進み航空旅行がより手頃になりつつある今日、リスクの高い計画だと指摘する。もし計画が失敗するようなことがあれば、日本の納税者が費用を肩代わりすることになると警告した(『ディプロマット』)。

 AFPは、高齢化・人口減少の進む日本で建設費用をまかなえるのか、アナリストは疑問視している、と報じた。「リニアモーターカーが運行されるようになったところで日本人の旅行が増えるとは思わない」と、中京大学の鈴木崇児教授は同メディアに語っている。リニアモーターカーの建設許可が下りたのは、現在運行中の新幹線をいずれ修理する際の代用目的との見解だ。「日本の人口変化とバランスを考慮すれば、リニアモーターカー建設は楽観視できる状況ではない」、と警告した。

 一方で『ディプロマット』は希望的な見解として、リニアモーターカーが新幹線と競い合うことにはならない可能性が高いこと、また運賃は1000円上がるだけで、時間が67分短縮される点を上げている。労働力が減り続ける日本で、無人運転は長期的に見て利益となる可能性も指摘した。

【海外ユーザーの反応】
 ディプロマットや『Japan Today』記事に対する海外ユーザーのコメントは、大半が懐疑的だった。

・地震のことを考えると、運転手なしで時速500kmは怖い。
・そもそも、なぜ日本人は分刻みの生活に固執するのか。しかもほとんどが地下で景色も楽しめないなんてつまらない。
・日本人の高速への執着は、現在の日本社会を反映している。

 少数派ではあるものの、歓迎する声もあった。

・すごい!乗ってみたい。
・実際の運行が待ちきれない。
・家から10分の最寄り駅を利用すれば、東京で夜遊びして翌日の仕事の前に帰ってこられる!

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Text by NewSphere 編集部