ガソリンがない……深刻な不足でフランス混乱 賃上げ求め製油所でスト

車が列をなすパリのガソリンスタンド(10月11日)|Christophe Ena / AP Photo

 9月末に始まったフランスの製油所のストは10月12日に23日目に突入。ガソリンのストックを欠くガソリンスタンドはとくに先週から目立ち始め、各方面に影響を及ぼしている。ただでさえロシアのウクライナ侵攻や異常気象による物価高が続き、エネルギー危機にも振り回されている消費者にとっては泣き面に蜂の状態だ。

◆莫大な利益を還元するよう社員が要求
 ことの起こりは、米石油大手エクソンモービルの労働組合員たちが9月終わりに給与引き上げを求めて開始したストだ。9月27日には、これにエネルギー大手トタルエナジーズの従業員も加わった。10月12日には同国に8ヶ所ある製油所のうち6施設で何らかのストが行われる状況となっている(フランス・アンフォ、10/12)。

 エクソンモービルとトタルエナジーズはそれぞれ2021年と22年上半期に莫大な利益を上げており、エクソンモービルの2021年の純利益は230億ドル、トタルエナジーズは163億ドルで、同社にとって少なくとも過去15年で最大だった。また同社は2022年上半期においても、106億ドルの利益を計上している。

◆食い違う主張
 労働組合のフランス労働総同盟(CGT)のティエリー・ドゥフレヌは、トタルエナジーズは株主にはこれらの利益を還元したが、従業員には何の恩恵も与えていないと訴える(Cnews、10/9)。そのためCGTは昨今のインフレ対処のための7%と、企業の利益分配としての3%の合計10%の給与引き上げを要求してストを開始したのだ(TF1、10/10)。

 しかし、雇用主と労働組合の主張はかなり食い違っている。トタルエナジーズによれば、製油所従業員はすでに平均9108ユーロのボーナスを受け取っており、2022年には3.5%の賃上げも決まっているというのだ。また、その平均月給が5000ユーロ(賞与を除くと4300ユーロ)であることも公表したが、CGTのエマニュエル・レピヌはこれを根も葉もない嘘だと否定している(フランス・アンフォ、10/11)。

Text by 冠ゆき