ガソリンがない……深刻な不足でフランス混乱 賃上げ求め製油所でスト

車が列をなすパリのガソリンスタンド(10月11日)|Christophe Ena / AP Photo

◆まとまらない合意
 ストに対する解決策として、トタルエナジーズは、通常毎年11月に予定されている賃金交渉を1ヶ月前倒しにすることを提案し、エクソンモービルは話し合いの場と賃上げを具体的に提示した。その結果、労働組合のうち管理職総同盟(CFE-CGC)やフランス民主労働連盟(CFDT)は、エクソンモービルの提案を了承したが、最大手のCGTと三番手の労働者の力(FO)はこれを不服として10月11日ストの続行を発表した。(フランス・アンフォ、10/11)

◆混乱する日常
 ストの影響で、フランスではガソリンスタンドの3分の1がストック不足となっている。地方によっては過半数のガソリンスタンドが休業状態だ。日本と比べフランスは車社会で、多くの人の通勤の足は車だ。また、子供の学校への送迎も原則として親の義務で、車を利用する人が多い。ガソリンが手に入らないと日常生活がままならない人が大多数だ。

 筆者の身の回りでも、まだ開いているガソリンスタンドに3時間並んだが、自分の順番が来るまでにストックがなくなってしまったというような話が増えている。10日からは、全国的にガソリン携行缶などへの給油は禁止となり、県によっては給油できる量の制限も始まっている(フランス・アンフォ 10/10、20 minutes 10/10)。

 医療関係者や消防車などの給油を優先する配慮もなされている。しかし、消防員でも個人の車は対象外であるため、仕事場である消防署に移動できないケースも出ている(20minutes、10/10)。県によってはスクールバスも今週からガス欠で運休状態だ(20minutes、10/10)。

Text by 冠ゆき