食料、生活インフラ、外出禁止… キエフ在住日本人に聞く日常生活

3月19日のキエフ市街の様子|Rodrigo Abd / AP Photo

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して1ヶ月が過ぎた。爆撃を含む激しいロシアの攻撃は、とくに首都キエフや北東部のハリコフ、南東部のマリウポリなどで顕著だ。ウクライナ市民は標的としていないと再三発言しながら、ロシアは容赦なく、病院や学校、住宅、ショッピングセンターなどを攻撃対象としている。

 戦闘が現在進行しているなか、犠牲者の数は概算でしかわからず、ウクライナ、ロシア、国連らの発表数値にもかなりの開きがあるが、ウクライナ当局によれば、市民の犠牲者は約2900人、ウクライナ兵士の死者数は約1300人とされている(フランス・アンフォ、3/24)。

 一方、国内外に避難したウクライナ在住者は1000万人に上ると国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏が20日ツイッターに投稿した。これは、ウクライナの人口の4分の1近くを占める人数だ。また、 360万人以上が国外に逃れたと見積もられている。

 こうしたなか、首都キエフの生活の現状はどうなのか? 現地で暮らす江川裕之氏に取材した。

◆最小限の外出
 1991年からキエフに暮らす江川氏は、現在市内の高層住宅に家族3人で暮らしている。話を聞いたのは、ちょうど3日続いた外出禁止を含む戒厳令が明けた翌日24日だった。日をまたいでの外出禁止はこれが3度目だったそうだが、その後も夜間20時~朝7時は基本的に外出禁止となっている。

 ただし、外出禁止令が出ていなくても、警備の人に無駄なエネルギーを費やさせないため、江川氏は極力外出を控えている。その反面、必要なときは、警報が出ていても食料品の買い出しに出かけることもある。絶えず出ている警報を気にしていたら何もできないからだ。

Text by 冠ゆき