世界的インフレも、なぜ日本だけ物価上昇しないのか
現在世界各地でインフレが起こっているが、長年にわたってインフレを目指してきた日本では、消費者物価の上昇が見られない。デフレ時代の習慣から、企業は値上げをせず消費者も支出を控えるという状況が続いており、このゼロインフレマインドが長い経済低迷の原因ではないかと見られている。
◆日本の不思議、コスト増でも物価上がらず
日本の10月の消費者物価指数は前年同月比でわずか0.1%の上昇となり、変動の激しい生鮮食品とエネルギー価格を除けば、実際には0.7%の下落となった。一方ユーロ圏、アメリカのインフレ率はそれぞれ4.1%、6.2%と、31年ぶりの高水準になっている。
原油や商品、マイクロチップの価格上昇など、他国に打撃を与えているインフレ要因の多くは日本にも当てはまるが、違いは企業や消費者の反応の仕方だとウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下WSJ)は指摘する。アメリカでは多くの大企業が価格を上げ利益も増やしているが、日本のスーパーなどの小売店は、価格据え置きや値下げを行っている。消費者の生活防衛意識が高まっており日用品にあまりお金をかけたがらないという、イオンの広報担当者の言葉を紹介している。
英エコノミスト誌は、生産者物価の上昇が消費者物価に反映されない理由には、数十年間ほぼインフレが起こらなかったことで蓄積された根強い期待が影響しているとする。同誌は、日本企業は輸入品の価格上昇を消費者に転嫁しないことで有名だと述べる。最近キッコーマンが2月からの値上げを発表したことが全国ニュースになったが、アメリカならこんな出来事はほとんど注目されないだろうとしている。
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