インドで「宮脇方式」の植樹が広がる 都市部の緑化に貢献
日本の生態学者である宮脇昭氏が考案した「宮脇方式」と呼ばれる植林手法が海外で広がりを見せている。インドではすでにこの方式で数十万本の木が植えられている。限られた地域に多様な植物が生育する様子は「小さな森」とも呼ばれ、おもに都市部の限られた土地を素早く緑化する手段として重宝されている。
◆インド各地に広がる宮脇方式
インド南部の都市・ティルバナンタプラムでは、地元NGOが州観光局と共同で都市の緑化プロジェクトに取り組んでいる。コンクリートジャングルの一角の土地に菩提樹の一種やレモングラスなどを植え、熱波を凌ぐ安らぎの場を創出する狙いだ。やせた土地で重宝されているのが「宮脇方式」だ。現地タイムズ・オブ・インディア紙が報じるところによると、さまざまな種類を混生させるこの方式により、小さな区画にすでに70種800株以上の植物が生い茂る。参加する30名ほどの若きボランティアたちは、泥と水にまみれながらプロジェクトを楽しんでいるという。
インドではほかにも各地で宮脇方式の導入が進む。ヒンドゥー紙によると、ベンガル湾に面するチェンナイでは、地下鉄駅近くの空き地や学校などの土地を活用して宮脇方式での緑化が進む。また、インディアン・エクスプレス紙は、インド南西部のカルナータカ州で高校生たちの手で5500本もの植林が行われていると伝えている。その種類は80種に及ぶ。
個人レベルで宮脇方式を実践している例もある。3つの衣料品会社を営むある男性は、これまでにインドの7つの州に40の森を作り、60万本以上の木を植えた。ニュース・ミニット誌は、とある道路工事で気が切り倒され、落巣する雛鳥に心を痛めたことがきっかけだったと伝える。小さな区画に豊かな植生を確保できることから、各種の緑化プロジェクトへの採用が相次いでいる。
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