ホテル予約サイトの“誠実さ”を英公取委が調査へ 購入急がせていないか、など
ホテル予約サイトが消費者に誤解を招くような表示をしているのではないか……そんな疑問を受けて、イギリスの公正取引委員会が調査に乗り出した。
◆イギリスでは7割がホテル予約サイトを利用
「ホテル予約サイトを使うことで、消費者は本当に自分たちにとって一番いい選択肢を選べているのだろうか?」。このような疑問への答えを明らかにするため、イギリスの公正取引委員会に相当する組織、The Competition and Markets Authority(CMA)がホテル予約サイトの実態調査に乗り出した。
CMAの発表文によると、イギリスでは、去年ホテルを探した人の70%がホテル予約サイトを利用した。「今日のように多忙な社会では、こうしたホテル予約サイトは、旅行者が理想的な宿泊先を見つけるにあたり時間とお金の節約に非常に役立つ可能性がある」と指摘している。しかしそのためには、こうしたサイトは「分かりやすく」、「正確で」、最善な選択ができるような「情報の提示」がなされている必要があるが、現状はそのようになっていない懸念がある、と今回の調査理由についてCMAは説明している。
今回の調査では、「検索結果」(表示される検索結果の順位は、消費者の好みではなくホテル側がサイトに支払う金額によらないか)、「プレッシャーをかけた売り方」(このホテルを今何人が閲覧しているか、残り何部屋か、この金額はいつまで有効か、などの記載が、消費者に誤った印象を与え、購入を急がせていないか)、「割引額」(わずかな期間だけ表示された高値からの割引額を表示して不当に大きな割引額を提示していないか)、「提示額以外の請求の有無」(当初表示されていなかった税額や手数料などを予約後に請求していないか)などを含んだ問題点が調査される。
◆全サイトが対象に
CMAは、業界各社に書面で、サイトがどのように運営されているかの情報提供を求めたとしている。つまり、大手のみならずホテル予約サイト全てが調査対象となる。
テレグラフ紙によると、イギリスのホテル予約サイト業界はアメリカのプライスライン・グループとエクスペディアがほぼ独占している。プライスライン・グループはBooking.com、Kayak、アゴダを所有。エクスペディアはトリバゴとhotels.comを所有している。
エクスペディアはスカイニュースに対し、「競争が厳しいホテルのマーケティングにおいて、(このような)プラットフォームがいかに透明性をもたらすかについて、また消費者にとっての利点をいかに高めるかについて、当社はよろこんでCMAと協議する」と述べた。トリバゴは、「理想的な宿泊先を探す消費者に当サイトがもたらす利点を説明するため、CMAと協力する」と声明を発表。一方でBooking.comは、コメントを拒否したという。
スカイニュースによると、調査結果は来年春にまとめられる予定だ。ここで名前が挙がっている予約サイトはすべて日本語でも展開されているため、日本の消費者にとっても注目すべき調査だろう。