なぜガリウム・ゲルマニウム規制なのか 中国が日米に強く対抗できないワケ
台湾情勢など米中の対立が続くなか、中国は7月初め、希少金属であるガリウムとゲルマニウムの海外輸出を規制すると発表した。ガリウムとゲルマニウムは半導体の素材として使われ、スマートフォンの顔認証に使っている面発光レーザーや液晶テレビのバックライトなどの白色発光ダイオードになくてはならないものだ。中国政府は規制について特定の国を標的にしたものではないと発表したが、同政府の元高官は、今後も中国のハイテク部門を狙った貿易規制が続くなら、中国の対抗措置はエスカレートし、制裁の種類や手段はほかにも多くあると強くけん制。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も、アメリカとその同盟国は中国の主要材料輸出の制限に込められた警告に耳を傾けよ、とけん制する内容の社説を掲載した。
◆背景にあるのは米主導の対中半導体輸出規制
日本は7月下旬より、先端半導体の製造や開発に必要な23品目(繊細な回路パターンを基板に記録する露光装置、洗浄・検査に用いる装備など)で対中輸出規制を開始する。対中規制の発端になったのは昨年秋、アメリカ政府が軍の近代化を目指す中国に先端半導体が渡らないようにと対中半導体輸出規制を発表したことだ。日本は今年1月にアメリカから同規制に同調するよう事実上の圧力をかけられ、3月にその要請を飲んだ。
中国はその時点で日本に対して対抗措置を取る構えを示していたが、今回のガリウムとゲルマニウムの輸出規制が初めての対抗措置となる。
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