ガザで続くイスラエル軍の軍事作戦は、何万人ものパレスチナ人の子どもたちから親を奪った。国連児童基金(UNICEF)は、これはガザの子どもたちが受けている「到底容認できない」犠牲の一つだと指摘している。

親を失うことは、この戦争が残す最も深刻で長期的な傷のひとつだ。すでに多くの子どもたちは、心に深い傷を負い、負傷し、あるいは極限状態のなかで暮らしている。そのうえで、世界との向き合い方を学ぶ過程で必要不可欠な、母親や父親からの愛情や保護までも失っている。

UNICEFによると、今年初め時点までに確認された累計値で、少なくとも5万9,000人近い子どもたちが片親または両親を失った。そのうち約2,700人は父母の両方を亡くしている。

イスラエル軍の空爆で両親を失い孤児となったハビバ・アル=カファルナ(5)。ガザ市の自宅にて 5月31日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

ハンユニスの孤児支援キャンプで暮らすパレスチナの子どもたち 1月11日 AP Photo / Jehad Alshrafi

空爆で両親を失った姪や甥たちの世話をするイクラス・アル=カファルナ(35)。ガザ市にて 5月31日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

戦争は2023年10月7日、ハマス主導の武装勢力がイスラエル南部を襲撃し、約1,200人を殺害、251人を人質として連れ去ったことをきっかけに始まった。それ以降、ガザでは7万3,000人以上が死亡したとされる。この数字はガザ保健省によるもので、同省はハマス政権下にある一方、医療専門家によって運営され、国際社会から概ね信頼できる統計として扱われている。

パレスチナ中央統計局のオラ・アワド局長はこう語る。「この悲劇は身体的な被害だけにとどまりません。家族という基盤、そして社会そのものの構造にまで及んでいるのです」

ハンユニスの孤児支援キャンプで暮らすパレスチナの子どもたち 1月20日 AP Photo / Jehad Alshrafi

空爆で両親を失った姪や甥たちに勉強を教えるイクラス・アル=カファルナ(35)。ガザ市にて 5月30日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

ガザ社会は、親族同士の強い結びつきによって支えられてきた。多くの家族が同じ家や近隣で暮らし、世代を超えて支え合う文化を築いてきた。

そうしたなか、親を失った子どもたちを支えているのもまた、祖父母や叔父叔母などの親族たちだ。彼らは少しでも子どもたちが普通の子ども時代を取り戻せるよう努めている。

「父親や母親の愛情に代わるものはありません。失ったものを埋め合わせることは本当に難しいのです」そう語るのは64歳のマフムード・ノファル。現在、3歳と5歳の孫たちの後見人となっている。南部ハンユニスのテントで暮らす彼は、「私はこの子たちの生活を支えています。体を洗い、必要なものをすべて用意しています」と話す。

空爆で両親を失い祖父に育てられている孫たちと遊ぶマフムード・ノファル(64)。ハンユニスにて 6月2日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

ハンユニスの孤児支援キャンプで洗濯物を干す孤児のディナ・ズーロブ(17)。ガザ地区にて 6月7日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

空爆で両親を失った姉妹、ナビラとバスマラ・アル=カファルナ。ガザ市の自宅にて 4月3日 AP Photo / Abdel Kareem Hana

家族も家も、かつての日常も失った子どもたち。しかし彼らは戦争前の人生につながるものを必死に手放さずにいる。学校に戻った子どももいる。家事を手伝う子どももいる。友人たちと未舗装の道を自転車で走る子どももいる。ラザン・シャナンにとって、その喪失を受け入れることは簡単ではない。

彼女が10歳だったとき、空爆によって家族5人が命を落とした。生き残ったのは彼女ひとりだった。攻撃以降、不安に苦しむようになった彼女は、かつて家族と暮らしていた6階建ての建物の瓦礫の中から見つかった写真を大切に抱えている。

一方、ガザ市で5人の甥や姪を育てているサラハ・アル=カファラナはこう語る。「どれだけ愛情を注ぎ、服を与え、旅行に連れて行き、食べ物や飲み物を用意したとしても、それは家族の存在の1%にも代わりません」

戦争が終わったあとも、失われた家族は戻らない。ガザでは今、何万人もの子どもたちが、その不在とともに生きている。

ハンユニスの孤児支援キャンプ内のテント教室で学ぶ子どもたち 2月12日 AP Photo / Jehad Alshrafi

空爆で家族を失い、祖父母と暮らす11歳のガザル・アル=キブリッティ。ガザ市の自宅にて 4月26日 AP Photo / Jehad Alshrafi

空爆で両親を失い祖父に育てられている孫たちに食事を与えるマフムード・ノファル(64)。ハンユニスにて 6月2日 AP Photo / Abdel Kareem Hana


By ABDEL KAREEM HANA and JEHAD ALSHRAFI Associated Press
GAZA(AP)