ウクライナ侵攻から2年…訪れつつある「ロシア有利」の状況

ゼレンスキー大統領=4日|Ukrainian Presidential Press Office via AP

 2022年2月のロシアの侵攻からまもなく2年となる。ロシアがウクライナに侵攻するか否かについて、あの時多くの専門家は侵攻しないだろうとみていた。しかし、それは見事に裏切られ、ロシアはウクライナへの侵攻を開始した。アメリカのバイデン政権は侵攻前から米軍は介入しないと断言していたので、それが侵攻を助長したとの見方もある。それから2年が経とうとする現在、ロシア軍はウクライナの領土の一部を占領し、状況が改善する兆しなどは見られない。紛争の当事者たちは今何を考えているのだろうか。

◆今後への懸念を強めるゼレンスキー大統領
 まず確認しておきたいのが、今後はウクライナ不利、ロシア有利の状況が訪れようとしている点だ。ウクライナのゼレンスキー大統領は今、2つの点で懸念を強めている。一つがアメリカを中心とする欧米諸国のウクライナ支援疲れだ。戦争から2年となるなか、当初の勢いとは裏腹に、思ったような結果に繋がっていないとして、欧米諸国ではウクライナへの支援をいつまで続けるのかという疲れの声が広がっている。極論となるが、支援がなくなれば状況は一変し、ロシアを勢いづかせることになる。ゼレンスキー大統領は安定的な支援がなくなることを強く警戒している。

 もう一つが、それに関連するアメリカ大統領選挙の行方だ。ゼレンスキー大統領としてはバイデン勝利を強く望んでいる一方、トランプ氏が勝利すればウクライナ支援が停止される可能性が出てくる。トランプ氏は大統領に戻れば真っ先にウクライナ支援を停止し、戦争を24時間以内に終わらせると発言している。そのリスクを考え、ゼレンスキー大統領は今年になり、トランプ氏をウクライナに招待するとの声明を発表したが、なんとしてもトランプ氏を自らの味方につけようとしている。

Text by 本田英寿