「トランプ再選」を中国とロシアはどう見るのか

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 トランプ再選が現実味を帯びてきた。それを悲観的に捉える声も好意的に捉える声もあるが、共和党候補者を選ぶ予備選はすでにトランプ一強という状態だ。最大のライバルと言われてきたフロリダ州のデサンティス知事はすでに指名争いから撤退し、ヘイリー元国連大使もいつまで戦えるかという状態だ。このような状況を各国の指導者はどう考えているのだろうか。

◆安心できない日米関係
 トランプ前政権時、安倍首相(当時)はトランプ氏と個人的な信頼関係を作ることに成功し、日米関係は当初の不安とは裏腹に良好だった。だからといって、トランプ氏が大統領に戻ってきても問題ないと勝手に思い込むのは早計だ。

 トランプ氏は個人的関係を重視し、それをもとに外交を展開することから、日本の首相はトランプ氏と新たな個人的な信頼関係を作る必要がある。日本は軍事的にも地政学的にもアメリカと良好な関係を保っておく必要があり、日本は今のうちからトランプ氏と新たな信頼関係をどう構築するかを考えるべきだろう。

◆中国にとって厄介なトランプ
 中国もアメリカ大統領選挙の行方を静かに見守っているが、正直なところ中国はトランプ再選を望んでいないだろう。バイデン氏でもトランプ氏でも対中姿勢に基本的な違いはないが、バイデン政権とは対立や競争が激しくなっても、それを管理していく意思は共有している。

 しかし、トランプ政権となれば、中国に対して制裁関税などを先制的に発動していくことが考えられ、米中関係を管理していくことが難しくなる。何をするかわからないという予測不可能性が中国にとって最大の懸念材料となり、再び厄介な相手と4年間接していくことになる。

Text by 本田英寿