トランプ再選なら朝鮮半島の緊張はどうなるのか

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 今年、2024年は世界的な選挙イヤーだ。13日には早速台湾で次の指導者を選ぶ総統選挙が行われ、3月にはロシア、11月にはアメリカで大統領選挙が行われる。そして、最大のポイントはトランプが大統領に返り咲くかどうかだ。仮にそうなれば世界情勢は大きく変化し、さらなる世界の分断も避けられないだろう。では、第2次トランプ政権が発足すれば、朝鮮半島の安全保障はどうなるのだろうか。

◆トランプ返り咲きで緊張は緩和に向かう?
 トランプ返り咲きが実現すれば、ウクライナ戦争はロシアに有利な方向に傾き、北大西洋条約機構(NATO)からの脱退など欧州との間で分断が拡大することになるなど、我々はマイナスイメージを抱く。だが、朝鮮半島については緊張緩和に向かう可能性が高い。

 バイデン政権の3年間、米朝関係は良くも悪くも何も動きがなかった。バイデン政権は中国との競争を最優先課題と位置づけ、それにウクライナ問題も重なり、北朝鮮イシューの優先順位は決して高くなかった。また、バイデン政権は、北朝鮮が非核化の具体的措置を取らない限り交渉しないというスタンスに徹し、日本や韓国との連携を強化したことで、北朝鮮の軍事的威嚇が続いた。

 2017年1月にトランプ政権が誕生して以降、トランプ大統領はミサイル発射を繰り返す金正恩(キムジョンウン)総書記をロケットマンなどと挑発し、北朝鮮もトランプが北朝鮮の存在自体を否定し、北朝鮮を滅ぼすと凶悪な宣戦布告をしたなどと非難するなど、双方の間で軍事的緊張が高まった。

 しかし、2018年2月の平昌冬季五輪あたりを境に米朝関係は大きく改善の方向に向かい、トランプと金はシンガポール、ベトナム、そして南北境界線の板門店で会談した。会談が上手くいったかは別として、長年対立する米朝双方の指導者が直接会ってハグする姿は極めて印象的だった。トランプ自身も北朝鮮の指導者と会った初めてのアメリカ大統領だということを強く自負している。

 北朝鮮もトランプ返り咲きを強く願っているに違いない。それによって米朝関係は改善の方向に向かい、朝鮮半島の軍事的緊張は大きく緩和され、トランプの北朝鮮訪問や金正恩のアメリカ訪問なども実現するかもしれない。

Text by 本田英寿