2024年の世界はどうなるのか 各地の衝突、緊張の行方

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 また、中東情勢をめぐってはイスラエルへの非難の声が拡大しているが、アメリカとしてもイスラエル支持の姿勢を堅持し過ぎれば、かえって諸外国のアメリカ不信が拡大する恐れがあり、バイデン政権はそこでのバランスが大きな課題となっている。重荷としてのウクライナやイスラエルは今年かなり顕著になってくるだろう。

◆ウクライナ情勢の激化
 一方、ウクライナ情勢ではロシアに有利な環境が訪れるかもしれない。昨年、ウクライナ軍は攻勢を仕掛けたが、ロシア軍は依然として南部や東部を占領し、現在、欧米とともにウクライナにも戦闘疲れが生じている。今年、ロシアは攻勢を仕掛けるような様相で、場合によっては情勢が再び激化するかもしれない。

 プーチン大統領はこの2年間の教訓から、戦闘を激化させれば欧米などからの非難や制裁がいっそう強化されるが、多くの国々は沈黙しており、政治的にも経済的にも孤立するわけではないため問題なしと認識していることだろう。ウクライナ支援疲れ、トランプの勝利などはいっそうプーチン大統領を勢いづかせることになる。

Text by 本田英寿