なぜイスラエルは厳しい攻撃を続けるのか
イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘が激化してから3週間以上が経過する。その間、イスラエル側の犠牲者はほぼ増えない一方、パレスチナ側の犠牲者は激増している。ガザ地区への空爆を続けるイスラエル軍は29日、「緊急の要請」としてガザ地区北部の住民に対して南部への避難を改めて呼びかけた。また、イスラエル軍は同日の空爆で数十人のテロリストを空爆で殺害したと明らかにし、SNS上にガザ地区の海岸を進む戦車とみられる写真などを公開した。イスラエルはすでに事実上のガザ侵攻を進めているが、今後ハマス壊滅を目指し攻勢をさらに強めるだろう。イスラエル軍とハマスではまったく軍事力が異なるが、なぜイスラエルはここまで厳しい攻撃を続けるのか。すでに国際法上の自衛権の範囲は逸脱している。
◆イスラエルが長年置かれる地政学的環境
イスラエルは4度の中東戦争を戦い、今日でもイスラエル周辺には同国政府が懸念する存在がある。ハマスのほかにも、イスラエル北部と隣接するレバノン南部には、親イランのシーア派武装組織ヒズボラが活動し、今回の衝突に合わせてイスラエル領内へロケット弾を発射したりしている。隣国シリアのアサド政権はイランと友好関係にあり、シリア内戦も影響し、シリア国内ではイラン関連の組織の活動が顕著になっている。イスラエルはシリア領内へもミサイルなどを発射している。
つまり、イスラエルは長年至近距離で敵とにらみ合い、イスラエル国家の領土保全と政治的独立が脅かされないよう、常に警戒してきたのだ。イスラエルが核を持つ背景にもそれがあり、核を持つことで敵対勢力を抑止してきた。イスラエルの安全保障を脅かす相手に対しては、「倍返しだ!」というような意識がある。
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