欧米の関心が再び中東へ、ロシアと中国は何を考えているのか?

イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐる安保理会合(16日)|Craig Ruttle / AP Photo

◆中国は今何を考えているか
 また、中国も同様に一方に肩入れする姿勢を回避している。中国はウクライナ問題に対しても同じような姿勢を貫いているが、地域の問題ごとに巻き込まれたくないというのが本音だろう。アメリカと違い、中国が他地域で影響力を拡大する場合、それは政治的、理念的ではなく、経済や貿易を重視した実利を重視している。中国は中東においてもイスラエルやサウジアラビアなど各国と経済関係を深めており、それによって中東での覇権を握ることに強い関心はない。

 しかし、中国にもロシアと同じような思惑はあるだろう。すなわち、アメリカが中東やウクライナの問題に関心を寄せ、台湾や南シナ海の問題への関心が薄まると、現状打破がもっとやりやすくなるという思惑だ。

 現在のイスラエルとパレスチナの問題がどこまで激化、長期化するかはわからない。しかし、中国としてはアメリカが再び中東のアリ地獄に落ち、インド太平洋での対応が鈍ってくることを狙っている。そして、台湾有事を想定してもそう思っているだろう。

Text by 本田英寿