日本はグローバルサウスにどのような姿勢で臨むべきか 意識すべき「当事者」としての立場

Rodrigo Reyes Marin / Pool Photo via AP

◆日本に求められるグローバルサウスへの戦略的姿勢
 では、こういったグローバルサウスに対して日本はどう接していくべきだろうか。グローバルサウスといっても国によって考え方や戦略は異なり、中国重視の国もあれば欧米重視の国もあり、大国間競争とは一定の距離を置く国もある。たとえばASEANとの関係で考えてみたい。ASEANといってもここで対象となるのはインドネシアやマレーシア、タイ、ベトナムなどだが、これまで日本はASEANと基本的には良好な関係を築いてきた。

 しかし、今後は戦略的な姿勢が求められる。上述のように、日本は米中対立などの大国間の揉め事に深く巻き込まれ、その当事者となっていると言っても過言ではない。日本はそれを強く意識する必要がある。すなわち、ASEANはそういう日本には警戒感を示す可能性があり、日本としては「アメリカ陣営の日本」という色を濃く出さない方がいい。中国への警戒感を滲ませる国であれば、そういった姿勢はむしろ歓迎されるかもしれないが、すべてがそういう国ではない。大国間競争とは距離を置く戦略をとる国々であれば、そういう日本とは一定の距離を置く可能性が高い。

 よって、日本としてはアメリカ陣営の日本ではなく、それとは一線を画す日本独自の姿勢を示していくことが望まれる。今後世界ではグローバルサウスの影響力が増大することから、アメリカ陣営としての日本と、独自路線を行く日本をテクニカルに使い分ける姿勢が求められるだろう。

Text by 本田英寿