大国間競争の陰で育つテロの芽 アフガンで不気味な兆候
今日、世界情勢の関心は米中対立や台湾情勢、ウクライナ情勢、グローバルサウスなど国家間問題に100%回帰している。9.11テロからすでに20年以上の歳月が流れ、同テロを実行したアルカイダや2014年以降猛威を振るったイスラム国などは完全に影を潜めている。しかし、アメリカの関心が対テロや対中国、対ロシアに移るなか、アフガニスタンでは差し迫った脅威ではないものの、不気味な兆候が見られる。
◆アルカイダがアフガニスタン国内で軍事訓練キャンプを拡大か
最新のテロ動向について定期的にブリーフィングレポートを発表する国連の対テロ監視チームが6月、新たな動向を発表した。それによると、一昨年夏にアフガニスタンで実権を再び握ったイスラム主義勢力タリバンとアルカイダの癒着は依然として強く、諸外国はタリバンにアルカイダなどのテロ組織との関係を断ち切るよう求めているが、それは一向に進んでいないという。そして、アルカイダはアフガニスタンで再びメンバーを増加させているようで、現在400人あまりが所属し、東部のナンガルハール州やヌーリスターン州、南部ヘルマンド州やザーブル州、西部バードギース州など各地に新たな軍事訓練キャンプを建設しているとされる。
アルカイダが短期的に国際テロを計画・実行できるほど勢力を盛り返すことは考えられないが、アフガニスタンでは国際社会からの支援が滞り、貧困や教育、社会開発などあらゆる問題が深刻化しており、そういった厳しい環境のなかで若い世代がアルカイダの洗脳教育を受け、新たなテロリストとして台頭してくることが懸念される。そういった土壌は、現在のアフガニスタンには存在する。
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