中国で拘束される日本人、今後さらに増えるかもしれない理由

vvoe / Shutterstock.com

◆人による支配は邦人拘束に拍車をかけるか
 今後の日中関係の行方も明るくない。日中双方とも経済に悪影響が及ばないよう外交努力に徹するだろうが、米中関係の改善は厳しく、まさに今台湾問題で当事者間の亀裂が深まっており、それによって日中関係も冷え込んでいく可能性が高い。こういった地政学的変化により、中国当局が国内にいる日本人への監視の目を強める可能性がある。当然ながら、拘束されるケースがドミノ現象のように発生するわけではないが、政治的に日本はアメリカの同盟国であり、台湾有事が発生すれば中国とは対立することになり、中国当局が日本への揺さぶりの手段として日本人を拘束する可能性も排除できない。政治的理由による拘束で相手国をけん制することはあってはならないが、スパイの定義や使用範囲も明確でない段階では、我々は法の恣意的乱用を可能性から排除することはできない。

Text by 本田英寿