三極化する世界 高まるグローバルサウスの不満

岸田首相(左)とインドのモディ首相(3月20日)|Manish Swarup / AP Photo

 近年、ウクライナ戦争や台湾情勢など大国間の対立が代理戦争を利用して先鋭化している。ウクライナでは欧米とロシアの対立が、台湾では米中の対立が激しくなり、その長期化は避けられない状況だ。一方、インドをはじめ、アジアやアフリカ、中南米の国々、いわゆるグローバルサウスのなかではそういった大国間対立とは距離を置く動きが見られる。今日、世界では三極化が進んでいる。

◆結束を強める中ロ
 欧米との対立を深める中国とロシアは結束を強化している。モスクワを訪問した中国の習近平国家主席はクレムリンでプーチン大統領と会談し、戦略的協力関係を強化していくことで一致した。両者はウクライナ情勢や中国が示した和平案などについて踏み込んだ話をした一方、エネルギーや経済の分野でも協力を加速させていくことで一致した。

 現在、プーチン大統領が助けを求められるのは事実上習氏しかおらず、ロシアとしては武器供与など中国から最大限の支援を引き出したい狙いがあったはずだ。中国としては対米共闘でロシアという存在が重要だが、ロシア寄りの姿勢を露骨に内外に示すとかえって中国のイメージ悪化につながる恐れもあり、習主席もそのバランスに悩んでいることだろう。いずれにせよ両国は非欧米世界の拡大という部分で利害が一致しており、今後は国交を回復したイランやサウジアラビアなどもこれに接近する可能性がある。

Text by 本田英寿