ウクライナ戦争はいつ終わるのか、海外専門家の見解は 開戦1年

ウクライナ北東部クピエンスクの破壊された建物(2月20日)|Vadim Ghirda / AP Photo

◆外交での解決は不可能 戦闘車両供与で潮目が変わるか
 専門家たちはどのような展望を予測しているだろうか。ドイツは「世界最強」とも言われるレオパルト2戦車などの供与を約束しており、欧州各国もこれに追随する可能性がある。米軍事サイトのディフェンス・ニュース(2月13日)は、こうした動きにより、「供与が間に合うと仮定した場合、これらの車両は戦場においてウクライナ軍に勝利をもたらす希望を宿すものであり、終戦への何らかの道筋へとつながる可能性もある」と論じている。

 一方、外交による解決は不可能になったとの見方が濃厚だ。NPRはアナリストの間で現在主流になっている見解として、外交上の取引は失敗するとの分析を取り上げている。「特別軍事作戦」と称した軍事行動に関し、ロシアのプーチン大統領はすでに自軍の苦戦を悔やんでいるとみられる。だが、自ら仕掛け、簡単に攻略可能であったはずの戦闘から、体面上やすやすと手を引けなくなっているとの指摘だ。

◆問題は欧米がいつまでウクライナを支援できるか
 悲観的なシナリオとしては、欧米がウクライナを支え続けられない恐れがある。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリストはディフェンス・ニュースに対し、「無限の資源など存在しない」「(武器提供が)今後1年、2年と続くことはありえない」との見方を示している。

 仮にウクライナ戦争が終結したとして、ロシアが弱体化する保証はないとの指摘もある。ヒル紙は、英シンクタンクのチャタムハウスで上級フェローを務めるキール・ギレス氏の発言を引き、「現実的に言って、ロシアが脅威でなくなると期待できる根拠はない。唯一の論点は、その脅威の性質だ」としている。ソ連崩壊を経てなお、安全保障をめぐる欧米とロシアの価値観は相容れない。ロシアはウクライナ戦での苦戦を通じ、それまで見くびっていた欧米の軍事力を再評価する可能性はあるが、対立姿勢は変わらないだろうとの指摘だ。

Text by 青葉やまと