新たな中東リスク 日本のエネルギー安全保障を脅かすイラン
◆潜在的リスクがある中東
2020年に入るや否や、アメリカによるイラン攻撃の緊張が高まったが、今年はそういった緊張が高まる可能性は今のところ低い。しかし、中東を取り巻く安全保障情勢は明らかに悪化傾向にあり、仮にイランがロシアの支援を受ける形で核開発をエスカレートさせると、長年犬猿の仲にあるイスラエルが先制的にイラン空爆を行う可能性がある。昨年、イスラエルでは保守強硬派のネタニヤフ政権が発足し、今後イランとの間で対立が深まる可能性が十分にある。また、サウジアラビアのムハンマド皇太子も以前、イランが核を持てば自分たちも持つと発言するなど、アラビア半島での影響力拡大を狙うイランへの警戒心が根強い。
今日、世界の関心はウクライナや台湾にあるが、今後は中東で火花が散る可能性がある。日本は「やっぱり石油は中東だ」と判断するのではなく、こういった潜在的脅威があるという前提に立ってエネルギー戦略を改めて考える必要がある。
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