ウクライナ戦争のゲームチェンジャーとなったHIMARS ヘルソン奪還でも活躍
◆HIMARSがもたらす3つの効果
英シンクタンクの英国王立防衛安全保障研究所のジャック・ワトリング上級研究員は、ポピュラー・メカニクス誌に対し、HIMARSは主に3つの側面から効果を発揮していると指摘している。第一は弾薬庫の破壊であり、これによりウクライナの都市への被弾を減少させる。第二はロシアの指揮所への攻撃であり、経験ある火器管制オペレーターを行動不能にする。そして第三に、兵站と部隊の移動を妨げ、特定の地域で望むような数の兵士が活動できないようにしているという。
一方、提供元のアメリカでは、国内の在庫レベル低下という問題が持ち上がっている。米シンクタンクの戦略国際問題研究所で安全保障を研究するトム・カラコ氏は、ロイターに対し、武器一般の在庫が「われわれが手元に残しておきたい数や、中国の紛争を抑止するために必要となる数に比べ、少なくなってきている」と指摘する。
◆より射程が長いGLSDBも検討中
そこで注目を浴びているのが、既存兵器を組み合わせた新たな小型精密弾だ。ロイターによるとこの精密弾はGLSDBと呼ばれ、GBU-39小型航空爆弾とM26ロケットモーターと組み合わせて製造される。どちらもアメリカ国内の在庫は豊富だ。HIMARSランチャーから発射可能であり、射程は現状の倍近い94マイル(約150キロ)となる。現在ボーイング社が米政府に提案している段階で、早ければ2023年春に配備されるという。
米NPOの海軍分析センターでロシア情勢を分析するマイケル・コフマン氏は、ポピュラー・メカニクス誌に対し、「(HIMARSなどの)深部への攻撃と正確な到達能力に対して完全に対応できる軍隊は存在しない」と述べている。前線からはるか後方の目標をねらうGLSDBは、ウクライナ軍の新たな主力兵器となるかもしれない。
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