イラン大統領、ヒジャブ着けない著名ジャーナリストの取材をキャンセル

国連本部で記者会見するイランのライシ大統領(9月22日)|Bebeto Matthews / AP Photo

 CNNやPBSで司会を務める米国のベテランジャーナリスト、クリスティアン・アマンプール(Christiane Amanpour)が、予定されていたイラン大統領、エブラヒム・ライシ(Ebrahim Raisi)とのインタビューにおけるヒジャブ着用を断り、取材はキャンセルとなった。その詳細とは。

◆取り消されたCNNインタビュー
 ライシ大統領は9月21日、ニューヨークの国連本部で開催された国連総会に参加し、演説を行った。同日、CNNの独占取材という形でアマンプールが大統領にインタビューすることが決定していた。アマンプールは自身のツイッター上の一連の投稿にて、その状況を説明した。投稿によると、イランの女性たちが率いる抗議活動の状況を踏まえ、アメリカ本土における大統領への初インタビューとなるはずだったが、予定時刻の40分後に、アマンプールは大統領の側近からヒジャブ(ヘッドスカーフ)を着用するように提案された。これに対し、アマンプールはニューヨークにそのような法律も社会的規範も存在せず、過去のイラン大統領からもそのような依頼があったことは一度もないとして、その提案を丁重に断った。側近はヒジャブの着用がないようであればインタビューには応じないと明確に説明したが、アマンプールは前例もなく予想外の状況には同意できないと述べ、最終的にはインタビューの場を去ったという。

 アマンプールの父親はイラン人。自身も幼少期テヘランで育っているイラン系英国人である。ジャーナリストとして、1995年以降のすべてのイラン大統領へのインタビューを実施してきた。過去、イランでのインタビューにおいては現地の慣習に従ってヒジャブを着用するケースがあったが、今回のように着用を求められたことは過去に一度もないと語る

Text by MAKI NAKATA