ロシアの劣勢を示す部分的動員と4州併合 追い詰められるプーチン氏
◆何とかレガシーを残そうとするプーチン
また、プーチン大統領はウクライナ東・南部のドネツク、ルハンスク、ザボリージャ、ヘルソンの4州で住民投票を行い、4州のロシアへの併合を発表した。今後公用語をロシア語とするなど4州の脱ウクライナ化がいっそう進められることになるが、おそらく4州からも部分的動員として成人男性が戦場に送られることになるだろう。本来同じウクライナ人だが、ウクライナ人がロシア軍に入り、そこからウクライナ軍を撃つなどというあり得ない状況も見られようとしている。
この4州の突然の併合は、何かしらの成果を上げなければならないというプーチン氏の焦りの結果だ。現在、4州においてもウクライナ軍が進軍するなどウクライナ優勢、ロシア劣勢の状況にある。この4州からロシア軍が撤退を余儀なくされれば、状況は侵攻前という「ほぼ振り出し」状態に戻されることになり、そうなれば、「2月からの成果はゼロで、結局プーチンは何をやっているのか」という状況になる。プーチン氏として再来年の大統領選挙も見据えれば、劣勢のなかでも成果を作り、国内向けにアピールする必要がある。
しかし、東部4州ではウクライナ軍の進軍が続いており、このままウクライナ軍の優勢が続けば、事実上、併合は宣言だけの表面的なものに終わり、それはプーチン氏をさらに窮地に追いやることになるだろう。部分的動員や東部4州の併合は侵攻開始当初、プーチン氏の考えにはなかったはずで、劣勢が顕著になるにつれて浮かんだ案だろう。よって、今後さらに劣勢が顕著になれば、新たな策を実行するかもしれない。それが核兵器の使用でないことを望む。
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