「住民投票」4州から脱出するウクライナ人 留まれば動員対象に

イベントの準備が進む赤の広場(モスクワ、9月29日)|Alexander Zemlianichenko / AP Photo

 動員を逃れるロシア人の国外脱出が続く一方、それより小規模ながら、ウクライナ東・南部4州からのウクライナ人脱出も続いている。それはなぜか。

◆ロシアによる「疑似」国民投票
 9月23~27日、ロシアが事実上占領しているウクライナの4つの州、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャで、ロシアへの編入に関する住民投票が実施された。ロシアは28日、開票率20〜27%の時点で「賛成」が97〜98%を占めたと発表した。

 しかし、西側諸国は実施前からこの投票の不当性を声高に叫んでおり、投票結果を認める意思はないと強調。ウクライナのゼレンスキー大統領は、2014年のクリミア併合のシナリオをなぞるロシアの「疑似」住民投票を強く非難し、「(ウクライナは)自国民を守るために行動する」と明言。中国外務省の報道官も、「すべての国の主権や領土保全は尊重されるべき」と述べた。

◆昨日のウクライナ人が今日のロシア人に?
 ロシアは、この「住民投票」結果を盾にウクライナ4州併合を宣言する考えだ。モスクワでは住民投票の結果が出る前から4州の併合を祝う式典準備が進められているほどだ(フランス人記者ツイート、9/27)。

 だが、ロシアの目論見通りに進めば、この4州に住むウクライナ人はロシア人ということになり、21日から始まっているロシアの予備役動員対象となる。それを裏付けるように、「住民投票」以前から、ロシアはこれらの地域にロシア時間を導入し、ロシアのパスポートを大量に配っていた(フランス・テレビ、9/24)。また、18~35歳の男性の移動もすでに禁じている。

Text by 冠ゆき