ロシア軍の少数民族差別 スラブ系より高い死傷率、残虐行為のスケープゴート

ウクライナで任務に就くロシア兵(7月30日)|Russian Defense Ministry Press Service via AP

 プーチン大統領はウクライナで戦死した少数民族出身の兵士を英雄と讃えるが、ロシア軍の少数民族出身兵士の死傷率はスラブ系兵士よりもはるかに高いという報道が出ている。ロシアでの少数民族に対する差別や植民地主義が反映されていると見られている。

◆多民族国家とは名ばかり? 少数民族が犠牲に
 2002年の国勢調査によれば、ロシア国民の約8割が自分をロシア民族、またはスラブ民族と認識している。その一方で、ロシアにはその他160以上の民族が暮らしており、多民族国家となっている。

 プーチン大統領はウクライナの「ネオナチ」と戦って戦死した少数民族出身の兵士を賞賛し、「ロシアのパワフルで強い多民族国家の一員であることを誇りに思う」と述べた(アルジャジーラ)。しかし、西側ではロシアの少数民族の名前はチェチェン人ぐらいしか聞く機会はなく、シベリア、北極圏、ヴォルガ河畔の民族は通常無視されているとフィナンシャル・タイムズ紙(FT)の社説は指摘する。同紙によると、こういった地域出身の兵士たちはロシア軍で不当に使われており、一部の少数民族はスラブ人兵士よりはるかに死傷率が高いことや、残虐行為の責任を負わされることについて怒りを覚えている。

Text by 山川 真智子