NATO首脳会議に参加した岸田首相の思いとは

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◆厳しさ増す日本の安全保障 一定の経済的影響はやむなしか
 しかし、厳しさを増す日本周辺の安全保障環境を考えれば、一定の経済的影響はやむを得ないとの思いが岸田首相にはあるのではないだろうか。石油や石炭などエネルギー資源に乏しい日本にとって、世界情勢の安定は欠かせない。今後も、中国が日本経済にとって最大の貿易相手国(の一つ)であることは変わらないだろう。誰も日本と諸外国の経済貿易関係が悪化することを望んでいない。

 しかし、いまここで国際法、法の支配といった国際ルールを無視した行動に対して断固たる姿勢で臨まなければ、今後再び同様のことが起こる恐れがある。岸田首相は繰り返し、ウクライナで起こったことが東アジアで起こる恐れがあると言及しているが、東アジアで中国やロシアによる国際ルールを無視した行動が顕著になれば、日本は極めて深刻な立場に陥る。そうなれば、経済だけでなく領土保全や政治的独立など主権国家の根本が脅かされる可能性もある。岸田首相のなかには、いま動かないと今後取り返しのつかない事態になるとの危機感があり、そのためには一定の制限や被害を受けることは仕方ないとの思いがあるのではないか。

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Text by 和田大樹