中央アジアで中国の影響力拡大? 経済悪化のロシアと地域の関係に変化か

カザフスタンのトカエフ大統領(左)とロシアのプーチン大統領(6月17日)|Gavriil Grigorov/TASS Host Photo Agency Pool via AP

 旧ソ連の構成国だった中央アジアの国々は、いまでもロシアとの繋がりが深い。しかしウクライナ侵攻によりロシアの経済見通しは悪化しており、今後は中央アジアへの影響力が弱まると見られている。ロシアの穴を埋めるとされる国の一つが中国だが、中国の関与がロシアの助けになるという見方もある。

◆中央アジアから出稼ぎ多数 ロシアが転べば大打撃
 旧ソ連の中央アジアの国々のうち、カザフスタンとトルクメニスタンは巨大な化石燃料産業から利益を受けているが、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスでは国内に十分な雇用がなく、労働者が職を求めてロシアに流出している。3ヶ国合わせて800万人近くがロシアで働き自国に送金しており、世界銀行によればその額はウズベキスタンでGDPの12%弱(2020年)、タジキスタンとキルギスでそれぞれ34%、33%に達している(2021年)。

 アメリカやNATOの同盟国、EUなどが科している大規模な制裁によってロシア経済が低迷すると、中央アジアへの重要な支払いの流れに影響が出ることになる。プーチン大統領が正当な理由のない戦争を続ける限り、貿易の流れは悪化し、中央アジアの経済的ダメージは大きくなるだけだとブルームバーグは述べている。

Text by 山川 真智子