ロシアは化学兵器を使用するのか? 使用の前兆を指摘する声も
◆皮膚ただれる「びらん剤」など懸念
使用され得る化学兵器は幅広い。カルディコット博士はSMH紙に対し、工業や農業などで使用されている化学薬品をもとに、兵器化することも可能だとしている。ほか、サリンやマスタードガスなど、戦争を想定して開発された化学物質も存在する。ほか、第一次大戦中には塩素ガスも用いられた。空気より重い性質があるため、肺を痛め窒息させる手段として、塹壕を狙って使用された。
ロシアは1993年、冷戦時代のソ連から引き継がれている化学兵器の在庫として、皮膚や気道などをただれさせる「びらん剤」のルイサイトやマスタードガスなど、計4万トン近くを保有していると米武器管理協会に申告している。米ポピュラー・メカニクス誌(3月23日)は、2017年までにすべての化学兵器を破棄したとロシアが申告していることから、「戦局の大勢に影響するほどの化学兵器をロシアが保有しているとは考えにくい」とみる。ただし、申告内容と保有状況が一致しているかは不明だ。
◆現在も化学兵器を保持か
ヨーロッパ各地では、ロシア工作員によるノビチョクを用いた毒殺事件がしばしば発生している。このことからポピュラー・メカニクス誌も、「ロシアは化学兵器を保有していないと主張するが、ヨーロッパ中に残る暗殺の痕跡はそれを否定している」と指摘する。
ミラー博士はSMH紙に対し、キエフ攻略が難しくなったことで、プーチンは化学兵器の投入に走る可能性があると指摘。「しかし、どんな軍隊をもってしてもキエフのような都市を手中に収めることは難しいだろう」「したがって爆撃で成果が上がらない場合、化学兵器を検討する可能性がある」と述べる。
化学兵器の使用は国際法で禁じられているが、ロシア軍の動向が注目される。
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