2万人超のロシア人がジョージアに逃避 「歓迎しません」現地民は反発
◆「次の標的」の可能性も ロシア人増加は脅威
こういった反ロシア感情は、いまのところソーシャルメディアに限定されるが、表向きリベラルな人々の間でも急速に高まっているとユーラシアネットは述べる。ジョージア人がロシア人を入れたがらない主な理由は、国内にロシア人が増えればプーチン政権が「ロシア人の保護」を口実に侵略を続けることが可能になるというものだ(コーカサス地方のニュースサイトJAMニュース)。西側のリーダーの間でも、ジョージアやモルドバなど親西側の旧ソ連の国が次の標的になるのではと懸念する声がある(AFP)。
ロシアはジョージアの一部であるアブハジアと南オセチアを国として認め、軍事的、財政的に支援しており、これもジョージア人のロシアに対する不信感につながっている。伝統的にジョージア人はロシア政府とロシア人は区別して考えているというが、今回の反ロシア感情の高まりは、それを揺るがしつつあるとユーラシアネットは述べる。
首都トビリシのロシア人コミュニティでは圧倒的に反戦、反プーチンが多く、現在ロシアから脱出する人々も同様だが、それでもロシア人への反発が起きている。ロシア国民ならロシアを離れず、自国政府に抗議すべきだという声もジョージア人から聞こえてくるという。(ユーラシアネット)
◆ロシアを怒らせたくない政府 脱露者は悲観的
ジョージアの与党党首は、国を戦争に引きずり込みたい野党が反ロシアを先導し、ロシア国民に対して制限を設けようとしていると述べる。文明社会では前代未聞の行為だとし、民族的差別を禁止する法律の制定に取り組んでいるとした。これに対しユーラシアネットは、政府はこれまで民族差別の問題には無関心だったと指摘。実のところはロシア政府への批判を最小限に抑えることで、現在の危機を乗り越えようとしていると述べている。
一方ジョージアに逃れてきたロシア人の心境は複雑だ。ある女性は、多くの同胞がジョージアの領土の一部をロシアが占領していることにも気づいていないと指摘。両手を広げて歓迎されるわけはなく、「我々はのけ者であり、国を持たない人々だ」とAFPに心境を語っている。
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