ロシア非難の国連決議に賛成しなかった40ヶ国の背景
◆賛成に回らなかったさまざまな背景
これらの国々をみると、さまざまな議論ができそうだが、筆者には3つのことが読み取れる。
1つ目はロシアと歴史的、政治的、経済的に結びつきが強い国家だ。カザフスタンやキルギス、ベラルーシやシリアなどがそれにあたり、賛成に回ればロシアから裏でバッシングやペナルティなどを食らう恐れもあり、内心はプーチン大統領の決断を良く思っていなくても、そうせざるを得ない政治的背景があったと考えられる。
2つ目は中国だ。これも1つ目と同じロジックだが、中国が棄権に回ったことで、中国から多額の経済的援助を受け、中国と緊密な関係にある国々(ラオスやスリランカ、アフリカ諸国など)は賛成に回りにくい政治的背景があると言えよう。
3つ目は国家の体制が権威主義的である国々だ(パキスタン、アルジェリアなど)。そもそも、自由民主主義とは価値観や体制が相容れず、中国やロシアのように権威主義体制を取る国家も少なくない。そういった国々は自由主義と権威主義の対立の図式がある今回の決議案に、そもそも賛成できないという事情もあるだろう。
我々日本人は欧米的な視点で国際情勢をみがちだか、世界を客観的にみることも重要だろう。今後、世界はいっそう多極化、もしくは無極化に向かう可能性がある。
【関連記事】
ウクライナ情勢:米国バイデン政権の限界が顕著に 加速するGゼロ
分析:プーチンの誤った歴史観 「常にロシアの一部」ではないウクライナの1000年
解説:侵攻の正当化にナチスを利用するプーチン 非難できないイスラエル
- 1
- 2