カナダ首都を麻痺させたトラック運転手デモ、世界に波及 背後に極右グループか
◆Qアノンと重なるカナダの「フリーダム・コンボイ」
フランス24(2/8)は、カナダの「フリーダム・コンボイ」運動は、「Qアノン問題である」と分析する。実際、この運動を推し進めたカナダ・ユニティは、Qアノン説を公に支持したジェームズ・ボーダーが設立したグループだ。またこの運動の支持者には、反ワクチンを公言する自称「ヴィーガン・ロッカー」のアメリー・ポールや、白人至上主義者が少なくないという。実際、オタワのデモでは、ナチスドイツが用いた鉤十字マークやアメリカ南北戦争の南軍が用いたレベルフラッグなど、白人至上主義に通じる傾向が見られる。
◆2月12日はパリ、14日はブリュッセルに集結か?
車両を使った抗議運動というアイデアは、オタワにとどまらず、国内外複数の都市に広がりつつある。たとえばニュージーランドでは2月8日、トラックや乗用車数百台が首都ウェリントンで「自由のための車両行列」を実行した(スタッフ、2/8)。オーストラリアの首都キャンベラでも、同様の動きが見られる(フランス・アンフォ、2/9)。
ヨーロッパでも、オランダやドイツ、イギリス、フランスなどに影響が現れている。そのうちフランスでは、SNS上で2月12日のパリ集結が呼びかけられており、南部のニースからは9日、車両100~200台がパリを目指して出発したところだ(フランス・アンフォ、2/9)。同国では、フェイスブック(FB)の「自由のための車両行列」グループが、開設以来2週間で33万人近い参加者を集めた(フランス・アンフォ、2/9)。
12日のパリ集結後はさらに北上し、14日にEU首都であるブリュッセル集合を呼び掛ける声も出ている。現在4万9000人のメンバーを数える「ヨーロッパ・自由のための車両行列」FBグループは、14日にはオーストリア、ハンガリー、ポルトガル、オランダ、イタリア、クロアチアからブリュッセルに参加者が駆けつけるはずだと主張している。
◆過激派による便乗に注意
とはいえ、フランスのメディアが指摘するように、フランスとカナダの状況は、似ているようでまったく異なるものだ。とくにことの発端となったトラック運転手に関して言えば、カナダと違ってフランスではトラック運転手へのワクチン接種は義務とされておらず、ワクチンパスポートがなくても、移動中の食事場所は保証されている(ル・モンド紙、2/7)。また、カナダと異なり、フランスでは通常、運転手は運送会社に雇用されており、燃料値上げの影響を直接被るわけではない。
ただし発端はどうであれ、デモ運動の多くは現政権や政策全体への激しい抗議に発展することが多く、過激派の狼藉を招きやすいのも確かだ。そのためパリ警視庁は10日、パリでの「自由のための車両行列」を11~14日まで禁じるという通達を出した。違反者が2年の禁固刑や4500ユーロの罰金、免許証の一時停止などを含む刑罰の対象となりうることも明記されている。
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