アフリカ人の63%、中国の影響に肯定的 中国のソフトパワー戦略とは?

中国港湾工程が参加したナミビアのウォルビスベイ港開発|Roger Brown Photography / Shutterstock.com

 アフリカにおける世論調査を行う調査団体アフロバロメーター(Afrobarometer)が発表した最新の調査報告によると、調査対象国におけるアフリカの人々は全体的に中国の政治的・経済的介入に対して好意的な印象を抱いているということがわかった。中国は、アフリカに対して政治的・経済的に積極的な介入をしている。アフリカにおける中国のソフトパワーの影響力とは。

◆アフロバロメーターの調査結果
 アフロバロメーターは、アフリカ37ヶ国を対象に、民主主義、ガバナンスおよび経済社会に関する世論調査を定期的に行う非営利・無党派・汎アフリカの調査団体で、ガーナを拠点に活動を展開する。団体は現在8回目の資金調達を完了させ、スウェーデン国際開発協力庁(Swedish International Development Cooperation Agency:SIDA)や、米国国際開発庁(United States Agency for International Development:USAID)、スーダン人のビリオネア、モ・イブラヒム(Mo Ibrahim)が設立したモ・イブラヒム財団(Mo Ibrahim Foundation)を含む5団体からの資金援助を受けている。過去には、英国政府、世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などがアフロバロメーターの活動を支援してきた。1999年に活動を開始して以来、累計で145の調査実績および20万件以上のインタビュー実績を持つ。

 11月15日付で配信された新たな調査報告によると、アフリカ人たちは全体的に中国の影響力を歓迎しているということがわかった。中国とアフリカの関係は、過去約20年間の間で大きく深まった。貿易総額は2000年では約110億ドルであったが、2019年時点では1920億ドルへと増大。アフリカに対する最大の援助国は米国であるが、中国はとくにアフリカ各国のインフラ構築に関しての資金援助を積極的に行っている。一方で、アフリカ諸国における対中国の債務は、とくに欧米など先進国メディアにおいては「債務の罠」だとして、危機感を持ってネガティブに語られることが少なくない。

 今回、アフリカ34ヶ国を対象に実施された調査の結果、63%の回答者が自国における中国の経済・政治的影響力に対して、「まあまあ肯定的」もしくは「とても肯定的」との回答を示した。また、47%の回答者が中国からの債務および開発援助に対しての認識を持っており、その内の57%が政府は中国から過度の借金をしていると回答した。同じ調査では、中国だけでなく、ほかの外部影響に対する印象についての結果も報告されている。米国に対しては60%が肯定的、旧宗主国に対しても46%が肯定的、ロシアに対しては35%が肯定的(48%が回答拒否・不明・どちらでもない)、国連機関に対しては57%が肯定的であるという回答を示した。解説によると、中国の介入に対して肯定的であると回答した回答者は、米国に対しても肯定的という回答を示したとのことで、米中対立の枠組みのなかで「どちらか一方を選ぶ」というようなマインドではないようだ。同時に、未来の自国の成長モデルに関しては、米国モデルがベストだとした回答者は33%に対して、中国モデルがベストだとした回答者は22%にとどまった。

Text by MAKI NAKATA