カブール空港テロだけではない、依然続くイスラム国のテロ活動

イスラム国の武装集団による攻撃で殺された民間人の棺(10月27日)|Anmar Khalil / AP Photo

 イスラム国は支配領域を失ってからも、バグダッド近郊や北部などでテロ活動を続けている。今年7月にはバグダッドで30人以上が犠牲になる自爆テロを起こし、9月にもフセイン元大統領の生まれ故郷キルクークで警察官10人以上を殺害している。

◆アフリカのウガンダにイスラム国が浸透か
 最近、ウガンダでは爆発テロが相次いでいる。ウガンダの首都カンパラでは10月25日、市民が乗るバス内で突然爆発が起き2人が死亡した。また、カンパラ郊外にあるレストランでは23日、即席爆破装置を用いた爆弾テロ事件があり、少なくとも1人が死亡、7人が負傷した。テロ専門家によると、この事件ではコンゴ民主共和国東部やモザンビーク北部で活動するイスラム過激派「イスラム国の中央アフリカ州(ISCAP)」が犯行声明を出した。これまでウガンダでISCAPの存在はほぼ報じられてこなかったが、ISCAPは10月9日にウガンダで発生したテロ事件でも犯行声明を出している。近年はタンザニアもISCAPが国内で勢力を拡大することに警戒感を高めている。

 ウガンダではイスラム法に基づく国家建設を目指す反政府勢力「民主同盟軍(ADF)」が活動しているが、ADFの幹部や戦闘員たちがイスラム国を支持する形でISCAPを名乗っているものと考えられる。実態はローカルな組織ではあるが、イスラム国のイデオロギーに共鳴し始めたとなると、ウガンダにおいて欧米など外交権益へのテロリスクが上昇する。実際、10月に英国とフランスはウガンダにおけるテロに注意するよう求めるアラートを発信した。今後の情勢を注視していく必要がある。

【関連記事】
続くテロ事件 依然消え去っていないイスラム国の動き
イスラム国指導者死亡から1年 依然として残るISの求心力
イスラム国は再生するのか? テロ事件に不穏な変化

Text by 和田大樹