「『アフリカを救う』をやめて」仏大統領に強固な姿勢、アフリカの若手活動家たち

Michel Euler / AP Photo

◆パターナリズムに屈しない若者たち
 今回のサミットのハイライトは、マクロン大統領と、アフリカ系フランス人を含む11名のアフリカの若者たちの直接討議の場だ。登壇した若者代表は、ブルキナファソ人起業家のラニムウェンデ・エルダー・コアマ(Ragnimwendé Eldaa Koama)、フランス黒人協会の代表議会(Conseil représentatif des Associations noires de France:CRAN)代表のロヴァ・リネル(Lova Rinel)、マリ人活動家アダム・ディッコ(Adam Dicko)、ケニア人メディア・パーソナリティ、アデレ・オニャンゴ(Adelle Onyango)、チャド人起業家・ブロガーのサンドリン・ナグエルティガ(Sandrine Naguertiga)、モロッコ人起業家のアミナ・ザクヌフ(Amina Zakhnouf)、ギニア人政治活動家のアリゥ・バー(Aliou Bah)、カメルーン人活動家のアテキ・セタ・カクストン(Ateki Seta Caxton)、コートジボワール人学者のアーサー・バンガ(Arthur Banga)、コンゴ人作家・アーティストのシンゾー・アアンザ(Sinzo Aanza)、そしてセネガル人ブロガー・サイバー活動家のチェク・フォール(Cheikh Fall)の11名。女性6名、男性5名の構成だ。

 それぞれがマクロン大統領に対して、率直な意見を表明。ブルキナファソ人のコアマは「アフリカに助けの手を差し伸べる」といった開発援助の姿勢をやめるべきだと強く主張。開発援助の枠組みから生まれたフランス開発庁の名前や組織体を改めるべきだと要請。彼女は、アフリカとフランスの関係を調理鍋(marmite)に例えるとすると、その鍋はひどく汚れている。その鍋で調理された料理は(アフリカ人は)誰も食べない、食卓についているのはマクロン大統領だけであると、ユーモラスな比喩表現を使いながらも、マクロン大統領とフランスの姿勢を厳しく非難した。マリ人のディッコも、マクロン大統領に対して、「アフリカを救うため」の軍事介入をやめるようにと要請。一方、セネガル人のフォールは6つの点を要請。過去の歴史に関してアフリカとアフリカ人に謝罪を表明すること、アフリカの独裁者の強化をやめることなどだ。

 若者からの批判に対して、マクロン大統領は基本的には同調の姿勢を見せた。そして対話を続けていくことの必要性を強調した。過去からの脱却と、軍事戦略や経済政策・援助に関しての根本的な改革によるフランスとアフリカの新たな関係構築の枠組みづくりは、まだ始まったばかりだ。

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Text by MAKI NAKATA