スプートニクV、いまだWHOで承認されず ロシア不満

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 ロシアは新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」の開発・実用化を早期に成し遂げた。すでに複数の国で緊急使用許可を受け接種されているが、世界保健機関(WHO)の緊急使用リストにはまだ入っていない。国家のプライドであるワクチンに対する冷遇に、ロシアは不満を隠せない。

◆有名医学誌で評価、WHOでは未承認
「スプートニクV」は、風邪を引き起こすアデノウイルスを利用したウイルスベクターワクチンで、昨年8月に世界初の新型コロナワクチンとしてロシア国内で承認された。今年2月には英医学誌ランセットに第3相試験の中間解析の結果が発表され、91.6%の有効性が認められ、副作用も耐えうるものだという良好な結果が示された。これまでに70ヶ国以上で緊急使用承認を受け、広く接種された実績がある。

 世界保健機関(WHO)は現在、ファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ、シノバック、シノファーム製のワクチンを承認しているが、スプートニクVの承認は提出すべきデータの不備などで遅れている(AP)。WHOの緊急使用リストに追加されれば、WHOによって組織されたCOVAXプログラムを通じ世界に出荷される道が開かれる。

Text by 山川 真智子