東南アジアの邦人にテロ注意情報、その背景にあるものとは

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 また、一部メディアの情報によると、タリバンがカブールで先月拘束したイスラム国ホラサン州の戦闘員6人のうち2人がマレーシア人だったということで、マレーシアはこの件で国内の過激派分子への警戒を強めている。南部ミンダナオ島などでイスラム過激派が活動するフィリピン当局も、同様に警戒を強めていると考えられる。
 
◆潜在的な脅威が残る東南アジア
 2014年6月、イラクとシリアをまたぐ形でイスラム国が台頭したが、それ以降、インドネシアやフィリピンではイスラム国を支持する過激派分子の台頭が顕著になり、2016年1月にはジャカルタ中心部でテロが発生した。それ以降もイスラム国関連のテロ(未遂を含め)が繰り返し報告されている。

 イスラム国の台頭とタリバンの実権奪還を簡単に比較できるわけではないが、グローバルジハードのなかで、タリバンの実権奪還は大きな出来事であることは間違いない。今後それが各地域のテロ情勢にどのような波及効果を与えるのか、我々は中長期的ビジョンで注視していく必要がある。東南アジアもその一つだ。

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Text by 和田大樹