海外駐在員の安全をどう守るか 東南アジアのパンデミックから考える

事実上のロックダウン中のホーチミン市(8月23日)|Bui Van Lanh / VNA via AP

 このところ、東南アジアで新型コロナウイルスのパンデミックが猛威を振るい、インドネシアやタイでは在留邦人の死者まで出る事態となった。最近も進出企業の間で駐在員とその家族の帰国を進める動きが活発化し、現地大使館も帰国を呼びかける発信をしている。

◆感染拡大、帰国という選択肢
 たとえば、ホーチミン日本商工会議所が公表した調査結果(在ベトナム日系企業が対象で7月下旬から8月上旬に実施)によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って駐在員とその家族の一時帰国または本帰国を予定しているかとの問いに対し、「はい」と答えた企業が27.4%、「検討中」と答えた企業が38.7%となり、「帰国・検討中」で66%あまりに達した。しかし、「帰国手続きをすでに進めている」との回答があれば、「検討するが依然として現地の状況を見極めてから判断する」との回答もあり、企業によって対応に違いが出ている。

 また、在ミャンマー日本大使館は同国に在留する日本人に対して、8月中に一時帰国を検討するよう強く呼びかけている。ミャンマーでは新型コロナウイルスの感染拡大や医療体制が依然として厳しい状態が続き、ワクチン接種も目処が立たない状況にある。また、9月以降の日本-ミャンマーを結ぶフライトの運航も決定していないことから、同大使館は一時帰国を推奨している。

Text by 和田大樹