20年間の読み間違い、撤退方法のまずさ……タリバン復権、米で批判噴出
◆緩やかな関与も選択肢 撤退の正当化に苦言
一方バイデン大統領は、この20年の失敗を認識しているからこそ撤退に踏み切ったという主張だ。16日の演説で過去の間違いを繰り返さないと明言し、自分の決断を後悔してはいないと述べた。判断を次の大統領に委ねるよりもむしろ自分が批判を受けて立つとし、撤退はアメリカにとって正しく、アフガニスタン駐留はもはや国益に合わないと断じた。(AP)
これに対しブート氏は、合意を実行するか、再び米軍を送り込むかというバイデン大統領の2択自体が間違いだと主張する。誰も戦闘部隊を増やすなどと言ってはおらず、約2500人のアドバイザーと航空戦力というアメリカの既存のコミットメントは、都市は政府、地方はタリバンによる支配という微妙な均衡を維持するには十分だったと述べる。2500人では何も変わらないという意見もあったが、タリバンの攻勢は米軍の撤退がほぼ完了したときに始まっており、アフガニスタン軍は米軍の支援を受けて活動することに慣れていたため、急激な撤退こそが政府軍の崩壊を招いたとしている。(WP)
ハース氏も同様の疑問を呈する。アフガニスタンへの介入は確かにコストと犠牲の多い戦いだったが、バイデン大統領が就任したころにはすでに兵力は約3000人まで縮小し、その役割は主に政府軍の訓練や支援に限られていた。2020年2月以降は米兵の戦闘死亡者は出ておらず、控えめなアメリカのプレゼンスはむしろプラスに働いたのではないかとしている。(プロジェクト・シンジケート)
同氏は、2020年の大統領選ではすでにアフガン政策は消えかけた争点で、現在のアメリカの関与のレベルも利害関係に見合った限定的なものに達していたとする。アメリカに軍事的勝利や平和をもたらすことはなくとも、現状維持なら政権崩壊を回避することができたという見方だ。(同上)
◆やり方がまずかった? 米国への信頼に影響
さらに問題視されているのは、撤退のやり方だ。予想以上に早いカブールの陥落により、現地では各国が自国民の退避を進める一方、国外脱出を求めて空港などに殺到するアフガニスタン人などで大混乱している。APによれば、バイデン大統領はタリバンによる首都占拠が予想以上に早かったことは認めたが、撤退の実行方法についての落ち度は認めなかった。
ハース氏は、急な撤退計画では、アメリカやアフガン政府に尽くしたアフガニスタン人を避難させるのに十分な時間も取れないかもしれず、戦略的、道徳的な失敗は、アメリカの信頼性に対する疑問を強めるだろうと述べていた(プロジェクト・シンジケート)。ブート氏は、タリバンのこれほどの勢いは誰も予想していなかったとはいえ、いまの混乱は予防可能だったとし、バイデン大統領は残りの在任期間にこの悲劇的な結果と向き合うことになるだろうとしている。(WP)
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