20年間の読み間違い、撤退方法のまずさ……タリバン復権、米で批判噴出

米中央軍のケネス・マッケンジー司令官(中央、8月17日)|1st Lt. Mark Andries / U.S. Marine Corps

 8月末までの完全撤退に向け、アフガニスタンに20年近くにわたって駐留してきたアメリカ軍は撤収作業を進めていた。それを尻目にタリバンは各地で攻勢を強め、15日、予想より早く首都カブールを制圧。現地は大混乱となっている。アメリカでは、バイデン政権以前から続いたアフガン政策の失敗と、早急な撤退のやり方が批判されている。

◆20年が無駄に 過去の政権から続く読み違い
 ワシントン・ポスト紙(WP)のコラムニスト、マックス・ブート氏は、アフガニスタンの失敗はブッシュ政権からバイデン政権までの4つの政権が作り出したものだと指摘。氏によると、ブッシュ氏は2001年のタリバン崩壊後、アフガニスタンに注力せずイラクでの戦争に貴重な資源を振り向けるという失態を犯した。オバマ氏は期限付きの兵力増強を命じたことで、タリバンに米軍撤退まで出番を待つことを促してしまった。トランプ氏は和平交渉が進展しなかったのに撤退を決め、バイデン大統領が前政権の決定を履行することでタリバンの復活を許してしまったとする。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)も前政権の失敗を指摘。ブッシュ、オバマ政権時代は比較的タリバンの力が弱く扱いやすかった時期で、交渉により和平に応じる可能性があったのに、その機会を逃したとしている。

 プロジェクト・シンジケートに寄稿した米外交問題評議会のリチャード・ハース会長もトランプ政権の和平交渉を問題視している。タリバンに武装解除も停戦も義務付けず、撤退のための薄っぺらな合意になったとし、その欠陥のある合意を尊重したバイデン大統領も批判に値するとしている。

Text by 山川 真智子