難民危機の再来か アフガン情勢悪化に神経尖らせる欧州

アフガニスタン軍から抜けトルコに逃れてきたと述べる男性たち(8月17日)|Emrah Gurel / AP Photo

◆難民対応の最前線 ギリシャ、EUに警告
 難民流入を最も懸念する国の一つは、2015年の難民危機の最前線にいたギリシャだった。100万人近くの難民がトルコの海岸からゴムボートで海を渡り、ギリシャの離島に上陸した。EUはトルコに資金を与えてギリシャへの難民の流入防止を図ったが、トルコはギリシャに渡る難民を黙認し、ギリシャはトルコに難民を押し戻そうとし、両国の関係は悪化している。(ユーロ・ニュース、移民ニュースサイト『InfoMigrants』)

 こういったこともあってか、ギリシャのミタラチ移民相はアフガニスタンからの難民の増加による圧力を軽減するため、EUはさらにトルコを支援するべきだと述べた。EUは2015年のような難民危機を回避することはできず、再発に対処する準備も能力もないと同氏は警告。欧州が防止のために事前に積極的に行動することが非常に重要だと主張していた。(ロイター

◆危機感薄い? 結局難民は欧州へ
 もっとも、ここまでで大量のアフガン難民の欧州への流入は見られておらず、今後増える可能性は高いものの、全部が欧州に到達することはないという見方もある。欧州のシンクタンクESIのジェラルド・クナウス氏は、近年EUは国境管理を強化しており、以前のように簡単にシェンゲン区域に入ることは困難だとしている。

 一方、逆の見方もある。アフガン難民の多くはイランやトルコに向かうのではないかとされているが、イランで難民キャンプを設置するには資金不足で、アメリカの制裁を受けているため各国も援助するのが難しいという。トルコはすでにシリア難民の受け入れだけで飽和している。欧州は、東側の国境にフェンスを設置しドローンを使って監視をしているが、数が増えれば難民の流入は止めらない。欧州にとっていまの状況を他人事として片付けるのは致命的な誤りだとポリティコは警告し、難民は必ずやってくるとしている。

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Text by 山川 真智子