パキスタンで中国標的のバス爆発テロか 続く一帯一路への抵抗

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 パキスタン政府は2017年6月、中国権益への攻撃が相次ぐことから、中国人の保護を目的に治安部隊1万5000人を投入することを決定したが、上記の通り、思ったような効果は出ていないのが現状だ。

 今回の事件もBLAが関与した可能性が十分に考えられるが、カイバル・パクトゥンクワ州ということで、これまでBLAが事件を起こしてきた場所からは離れている。よって、それよりは近い距離にあるクエッタの事件で犯行声明を出したTTPの関与も考えられる。しかし、専門家の分析では、最近BLAとTTPが関係を強化しているとの見方があり、今後の治安情勢には注意が必要だ。

◆パキスタンだけに限らない一帯一路への抵抗
 一方、こういった一帯一路への抵抗はパキスタンだけに限らない。中国は中東やアフリカの各国でも積極的に一帯一路プロジェクトを進めており、BLAのような分離独立型の武装勢力、アルカイダやイスラム国などを支持するイスラム過激派が中国権益への攻撃に出てもまったく不思議ではない。中国では近年、民間警備会社への需要が高まっているといわれるように、中国当局も、各地で展開する中国人がテロや暴力の標的になることを警戒している。今後ともこのような一帯一路への抵抗は各地から聞こえてくるだろう。

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Text by 和田大樹