増える中国人、「乗っ取られる」恐怖心 一帯一路への反発と抵抗(2)−南太平洋−

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台湾の蔡英文総統は8日、南太平洋ナウルのワガ大統領と台北市内で会談した。ナウルは南太平洋14の島嶼国のうち、台湾と外交関係がある6ヶ国のうちの1つであるが、ワガ大統領は引き続き台湾との関係強化に努める姿勢を見せた。蔡英文総統も、北京が強調する「一国二制度」に改めて反対する姿勢を示した。

 去年9月にナウルで開催された「太平洋諸島フォーラム」の席で、ワガ大統領が中国代表団を強く非難するできごとがあったが、同大統領は中国の南太平洋への進出には消極的な態度を見せている。

 一帯一路構想に基づく中国の影響力拡大は、比較的焦点の当たらない南太平洋地域でも近年顕著に見られる。また、同地域は世界でも稀に見る中台による国交獲得競争の最前線になっており、中国としては、南太平洋が「台湾潰し」の場として非常に都合がいいという事情もある。

                                                                                                                 

◆増え続ける中国による島嶼国への経済支援
 現在、中国と国交があるのは、パプアニューギニア、バヌアツ、フィジー、サモア、ミクロネシア、クック諸島、トンガ、ニウエの計8ヶ国で、台湾とあるのは、マーシャル諸島、ツバル、ソロモン諸島、パラオ、キリバス、そしてナウルとなっている。

 そのようななか、中国は近年、南太平洋各国への経済支援を積極的に進めている。シドニーにあるシンクタンク「ローウィー研究所(Lowy Institute)」によると、中国は 2006年からの10年間で、パプアニューギニアに6億3200万ドル、フィジーに3億6000 万ドル、バヌアツに2億4400万ドル、サモアに2億3000万ドル、トンガに1億7200万ドルなど多額の経済支援を行ったとされ、その勢いは現在も治まる気配は見られない。

 しかし、アジアやアフリカで見られるように、同地域でも少なからず同じような現象が見られる。

 たとえば、トンガでは去年、中国からの無償資金援助で建設された政府庁舎が完成したが、中国企業や中国経営者・労働者の数がここ数年で大幅に増加している。しかし、それが現地の雇用改善に繋がってはおらず、現地のトンガ人からは反発の声が高まるだけでなく、「債務の罠」にはまり、中国に乗っ取られてしまうなどの恐怖感も出ているという。また、観光が主要産業であるパラオでも、中国人観光客、それに伴う中国系企業などの増加に伴い、同様の警戒感を抱く現地住民が増えているという。

Text by 和田大樹