考察:共産党100年演説、習近平主席の狙い

Li Xueren / Xinhua via AP

 7月1日、北京では中国共産党創立100周年を記念する式典が大々的に開催され、習近平国家主席は1時間以上にわたって演説した。習氏は、「台湾独立は断固粉砕しなければならず、台湾統一は共産党の歴史的任務だ」「香港国家安全維持法を実行し、主権や安全を守る」などと強調し、「中国人民は外国勢力の圧力には絶対屈せず、そういった動きは必ず悲惨な目に遭うだろう」と事実上米国などを牽制した。

◆米国を中心とする対中包囲網への強い牽制
 今回の7月1日の習氏の発言内容は十分に予想できたもので、そこに何か新しいものがあったわけでない。習政権が核心的利益と位置づける台湾と香港についての演説内容、米国を中心とする外国勢力への牽制など、これらは以前から強調されてきた。

 しかし、これは筆者の想像の世界ではあるが、今回の習氏の脳裏には、米国だけでなく英国やオーストラリア、また日米豪印のクアッドなど、バイデン政権によって固まりつつある多国間中国包囲網を牽制する目的があったように思う。新型コロナウイルスの感染拡大によっても、中国とインドやオーストラリア、英国などとの関係が悪化しており、習氏には核心的利益を含め妥協する姿勢は一切ないことを諸外国に強く示す狙いがあったはずだ。

Text by 和田大樹