韓国初の国産戦闘機「KF-21」、ミドルパワーの有力な選択肢に
◆大々的な発表会の裏で、武器輸出への警戒論
華々しく披露されたポラメだが、将来的な輸出計画をめぐり警戒感も出ている。韓国はここ20年ほど、武器の輸出を強化してきた。2000年には武器輸出国の31位であったが、2020年には6位にまで台頭した。文大統領はKF-21についても輸出を計画しており、輸出先の候補として、イラク、マレーシア、ペルー、フィリピン、カタールなどを念頭に置いている。カタールのアルジャジーラ(4月20日)はこのような計画に触れたうえで、韓国が武器輸出を強化することで、国際的な軍拡競争を加速するとの懸念を示している。
現時点でもすでに、海外の軍で韓国製兵器の採用が進む。韓国製のドック型輸送揚陸艦「UMSモアタマ」はミャンマー海軍のフラッグシップに採用されており、ほかにも韓国の対戦車ロケットランチャーがイエメンの戦闘で用いられているなど、同国は国際武器市場への進出を強めている。アルジャジーラはKF-21戦闘機の披露を受け、「韓国の新型戦闘機が国際市場に登場することで、アメリカやロシア、フランスなどによる類似のオファーに応じられない中堅国の支出を刺激する材料にもなりかねない」と論じている。
◆東南アジアにも輸出か 途上国の入手に現実味
韓国は東南アジアへの輸出も視野に入れている。すでにインドネシアが開発費の2割を負担する契約となっており、同国への導入は既定路線だと言えよう。CNNは、韓国側によると現時点では支払いが滞っているものの、今後もインドネシアと交渉を続ける方針だ、と報じている。文大統領は、韓国の可能性を信じてパートナー国になったとして、インドネシア政府に謝意を示しているという。
インドネシアに加え、フィリピンも有望な輸出先だ。製造元の韓国航空宇宙産業が今後製造を続けることで、中長期的には1機あたりのコスト低減が見込まれる。このような前提においてポピュラー・メカニクス誌は、「ポラメは中堅あるいは途上国の空軍にとって魅力的な選択肢となり得る」と分析している。すべての国家がF-35を購入できるわけではなく、仮に6割の性能の機体を6割の価格で入手できるのであれば、これに応じる国々は相応に存在するはずだ。
予算上新型戦闘機の導入を見送っていたミドルパワーの国々にとって、韓国のKF-21は現実的な選択肢になる可能性がある。軍拡競争を刺激する結果に陥るのか、今後の輸出動向が注目される。
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