鮮明になる対中包囲網 G7外相会合を振り返る

Stefan Rousseau / Pool via AP

◆G7とASEANの連携
 また、もう一つ大きな特徴がある。今回の外相会談では、G7とASEANの連携を強化していくことも議論された。ASEANは地理的にインド太平洋の中心に位置しているが、日本やインド、欧米が主導していくインド太平洋構想においてASEANの協力は欠かせない。ASEANといっても、ミャンマーやラオス、カンボジアは基本的には中国サイド(経済的な背景が強い)で、実質、インドネシアやマレーシア、フィリピンやベトナムとの連携になる。仮に、そういった動きが加速すれば、海洋進出を進める中国にとっては大きなけん制になるだろう。

 中国側がそういった連携を崩すべくさまざまな行動に出ることは間違いないが、中国はバイデン政権が多国間で対抗してくることを嫌がっている。トランプ時代は欧米関係が冷え込み、多国間圧力を気にする必要性はほとんどなかった。

 インド太平洋に欧州、そしてASEANと多国間の連携が鮮明になればなるほど、中国は経済やワクチンなどで自らの陣営固めを進めることだろう。

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Text by 和田大樹