米中対立のなか日本はどう生き残るか

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 バイデン大統領と菅首相は16日、ワシントンで日米首脳会談を行った。菅首相はバイデン大統領が就任以来、フェイスバイフェイスで会談する初めての首脳となったが、バイデン政権は対中国を念頭に日本を最も重視していることは間違いない。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官も最初の訪問先に日本を選び、外務・防衛の閣僚級会議2プラス2を開催し、中国への強い懸念を表明した。今回のバイデン・菅会談でも中国への懸念が強く示されたが、52年ぶりに共同声明に台湾が明記されたことは大きなポイントだ。

◆中国への対抗意識を強めるバイデン政権
 最近、バイデン政権はトランプ前政権以上に中国への対抗姿勢を強めているようにも見える。トランプ時代は1対1の米中対立だったが、バイデン時代は多国間対1の対立構図に変化しており、バイデン政権はサプライチェーンの構築など中国に対して負けないという闘志を鮮明にしている。

 バイデン政権は多国間で中国に対応していくべく、日本に対してさらなる協力を求めてくることが予想される。これはトランプ時代にはほぼなかったことで、安全保障や経済、サイバーや人権、技術革新など多方面で日本は米国から強い協力を求められる可能性があり、非常に難しい決断を余儀なくされることも想定される。

◆日本へ反発を強める中国
 当然ながら、今回の日米首脳会談について中国政府は強く反発している。中国共産党系メディアも、「日本は中国と関係を修復させてきたにもかかわらず米国路線に舵を切り、日中関係改善の勢いは失われた。今後の対応によっては日本はそれなりの対価を払うことになるだろう」と強く日本を批判した。とくに、共同声明に台湾問題が明記されたということは、中国が核心的利益かつ不可分の領土と位置づける台湾問題について日本が一歩踏み込んだことを意味し、今後は中国が日本に対して米国と同一視した形で対応してくることが懸念される。

Text by 和田大樹