バイデン政権で初のシリア空爆 イランとの関係の行方は

米軍の空爆で破壊された施設の衛星画像|Maxar Technologies via AP

◆今後のバイデン政権とイランの行方
 イラン核合意から一方的に脱退し、イランへ強硬な姿勢を貫いてきたトランプ前大統領とは違い、バイデン大統領は同合意へ復帰することをも模索している。また、トランプ政権と蜜月関係だったイスラエルとサウジアラビアは、バイデン政権ではその蜜月さはなくなることから、米国との関係を改めて模索している。しかし、両政権はまったく違うように見えるが、海外にある米国権益を保護するという点においては変わらない。米国の大統領であることからそれは当然のことでもある。

 さて、今後の行方としては、イラン核合意への復帰を掲げるバイデン政権がどうイランに対応していくかだ。イランは、まずバイデン政権がトランプ前政権下で発動された制裁を解除すべきとのスタンスであり、核関連でもけん制する動きを続けている。一方、バイデン政権は逆にイランが先に核合意を遵守すべきとのスタンスであり、一連の米権益への攻撃がイラン中枢からの指令によるものではないにしても、バイデン政権の核合意復帰はさらに遠のいた感がある。

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Text by 和田大樹