ミャンマー軍事クーデター 変わった米国、注目の中国の反応

Aung Shine Oo / AP Photo

 また、オーストラリアのペイン外相も米国同様の懸念を示し、法の遵守と捕まった政府高官らの即時解放を訴えた。バイデン政権は同盟国との関係を重視しており、今後こういった問題に対して多国間主義の立場から当該国に圧力をかけていくことが予想される。

◆今後は中国の出方に注目
 一方、こういった情勢のなかで注目されるのが中国の出方だ。ASEANのなかでもミャンマーは経済的に中国との関係が深く、一帯一路による多額の資金援助を受けてきた。習政権は一帯一路の戦略上もミャンマーを重視しており、今回の件でもミャンマー国軍を強く非難することはないだろう。もしくは、沈黙を守り、非難したとしてもそれは建前上のものであり、自らの利益を損ねる行動は控えるだろう。ここにも米中対立の影が見え隠れする。

 そして、もし今回の件でバイデンアメリカとミャンマーの間で亀裂が深まれば、それだけ中国を利することにもなる。よって、米国やオーストラリアなどはミャンマー国軍を非難する声明を出してはいるが、背後にある中国の存在を考えると政治的なジレンマも感じていることだろう。

 今回のミャンマー軍事クーデターは同国の内政問題であるが、今後の米中関係の行方を考えさせる国際問題でもあろう。

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Text by 和田大樹